資料:マッカーサー死去にさいしての日本政府の反応
資料:ダグラス・マッカーサー死去にさいしての日本政府首脳の反応
池田隼人内閣総理大臣による弔電
ジョンソン大統領閣下、マッカーサー元帥の死去に際し、私は日本政府と国民に代り閣下と米国国民に対し、心から哀悼の意を表する。元帥は勇気ある愛国者、忠誠なる市民として、その生涯を通して祖国に輝かしく奉仕した。日本人はこの偉大な将軍を、軍人としてのみならず、友人として愛情をもって記憶している。第二次世界大戦後、マッカーサー元帥は勝者を代表して敗戦日本に臨み、同情と賢明さをもって日本の再建に献身された。夫人と他の遺族に対し衷心よりお悔み申上げます。
黒金泰美内閣官房長官による談話
ただ今マッカーサー元帥の訃報に接し、私は日本政府および国民に代り深甚な哀悼の意を表する。
元帥は連合国最高司令官として、日本に対する深い理解と国際情勢についての卓越した洞察力に基づく賢明にして思慮深い占領政策を推進することによって、日本における民主主義の確立と経済の再建に絶大な貢献をされた。当時戦火によって廃墟と化した日本と虚脱状態にあった日本国民が今日の繁栄と国際的地位を享受しているのは、その後の日本国民の立直りと努力によることはもちろんだが、元帥が当時諸方面からの反対に抵抗しつつその信念を貫き、日本の進路を誤りなからしめた功績に負うところがきわめて大きい。
マッカーサー元帥に今日の日本の隆盛ぶりを親しく見ていただくとともに、日本国民の感謝の意を表するために、元帥を日本に招きたいという動きが国民の間にあったのだが、その機を得ないままに、元帥の訃報に接したのは誠に残念である。
ここにつつしんで元帥のご冥福を祈るとともに、ご遺族に対して深いお悔みの言葉を贈る。
マッカーサー元帥逝去の報をきき、衷心から悲しみと、哀惜の念にたえない。
元帥が日本を去って既に十有余年、多くの日本人は、終戦当時のあの悲惨な状態を忘れるとともに、わが国に対するマッカーサー元帥の恩義をも忘れがちではあるまいか。
敗戦の荒廃、きびしい食糧不足、政治、経済、社会制度の混乱、人心の不安定、そのような中で現在のわが国の繁栄の源となった新日本の基礎造りの上に残された、元帥の偉大な業績を私は忘れることが出来ない。今日から見れば、あるいは占領行政に種々の批判もあり得ようが、天皇制護持、日本分割占領拒否という、最も基本的なわが国存続の条件を、断固として守り抜いてくれた元帥のお陰で、われわれが今日の繁栄と平和を得ていることを、感謝しなければならないと思う。
私は、マッカーサー元帥の在任中、きわめてしばしば、元帥に接触する機会を得たため、その人柄には強い感銘を受けたものである。軍人の家庭に生れ、軍人としての教育を受け、軍人として最も輝しい経歴をもった人であるにかかわらず、きわめてすぐれた政治感覚をもった人であった。当時の困難な国内情勢と、きびしい占領行政方針の板ばさみに、私が困惑した際、元帥は私の素直な主張によく耳を傾けて、わが国情や、民族性を理解してくれたし、また米国政府の対日政策の中にも、わが国情に不適当なものは、わが国のために弁護者として、その阻止に努力してくれたのである。
元帥は、その回想記の中で、天皇陛下のお人柄に深く感銘したことを述べておられるが、われに天皇陛下、彼にマッカーサー元帥があったことが、占領下のわが国にとって、幸運であったことを疑うことは出来ないと信じている。
元帥がわが国を去り、帰国し、米国議会でかの有名な演説を最後に軍歴を引退して後、私は両三度ニューヨーク市をたずねて、元帥に会う機会を得たが、元帥は常に、わが国の復興成長に深い関心を持って、わが事のように喜んでおられた。
私は、わが国にとってこのように偉大な恩人を、ぜひ一度日本に迎えて、戦後二十年のわが国の繁栄を見てもらいたいと念願していたが、今となっては、これも果し得ぬ夢となった。
私は日米両国の友好親善の歴史の中に、マッカーサー元帥の名が、永久に残ることを信じて、元帥の御冥福を祈りたい。
The Japan Times on Tuesday, April 7, 1964
A cable conveying the condolecence of Emperor Hirohito and Empress Nagako on the death of Gen. Douglas MacArthur was sent to Mrs. MacArthur, widow of the deceased five-star general, Monday.
MacArthur died of acute kidney and liver failure at Walter Reed Medical Center, Maryland, early Monday morning Japan time. He was 84.
Japanese political leaders were also quick to send messages.
In a message to U.S. President Lyndon B. Johnson, Prime Minister Hayato Ikeda said: "I wish to express to the American people my deepest sympathies over the passing of Gen. MacArthur. The general, as a courageous patriot and a loyal citizen, served his country brilliantly throughout his life. The Japanese people remember him with affection not only a great soldier but also a friend of this country.
"Gen. MacArthur, representing the victors, dedicated himself with sympathy and farsightedness to the reconstruction of Japan after World War II. I wish to express my grief on the occasion of his death."
Foreign Minister Masayoshi Ohira, in a cable to Mrs. MacArthur, said: "The passing of your beloved husband is a source of painful sorrow for us in Japan. Now that he has performed his duties in this world, we pray that he will rest in peace."